The Climate Corporation CEO, Mr. David Friedberg が、自らの起業経験を元に、新規ビジネスを始めることの意味と起業家に必要な覚悟を、具体的事例や数字を使って語っています。(スタンフォード大学の起業家リーダー講座にて)
お金を儲けることが目的であれば、起業以外の方法のほうが良いだろう、というのが、彼の意見。社会に存在する解決すべき「真の問題」を見つけ、「影響力のある解決法」で社会に変化を生み出し、成功に向けて「辛抱強い努力」をもって行動を起こすことが、起業に不可欠な基礎。新規ビジネスは大きな賭けではなく、きちんと問題を整理し、失敗を成功への前進と受けとめ、分かっていないことを一つ一つ読み解いていけば、起業を通して意味のあるインパクトを社会に与えることができる、とDavid Friedberg は信じます。
タイトル:「Entrepreneurship Gives Life Meaning」
この話の中で、特に印象に残った部分を紹介しようと思いましたが、大切な教訓がいっぱいで・・・これも、これも、となってしまいました!
(1) “You have to do cold calling”
Cold-Calling=(知らない相手に突然電話をすること。売り込みやアンケートの電話など。)
ビジネスモデルを組み立て、資金を集め、商品提供の基礎となるウェブプラットフォームも構築し、いざ新しいサービスを開始。後は顧客からの連絡を待つ段階になったが、誰からも注文の連絡がこない。求められている素晴らしいサービスを開発したつもりが、最初の難関に直面します。そこで、彼は、見込み顧客一人一人に電話をかけ、会話をすることで、何が足りていないのか、顧客が実際に何を求めているのかを少しずつ理解していきます。突然知らない人に電話をするのは、とてもつらいことです。それでも、Cold Calling を通して、顧客のニーズを生の声から少しずつ理解し、サービスを改善したDavid Friedbergは、そのプロセスを決定的に重要なものだと経験を通して実感しました。投資銀行のエリートとして多くの重要案件をリードし、そして、グーグル本社で企業戦略に関わってきた彼が、問題を前に、前進するために行ったことは、会ったことのない見込みの顧客に、自分で一つ一つ電話をし、対話を試みることでした。恐れず、小さな努力を積み重ねることの重要性を改めて感じます。
(以下、セミナーより抜粋)
“Mr. Construction Company, doesn’t it cause delays in your operations when it rains” or “hey, Mr. Farmer like if there is a freeze, you’re going to lose your entire citrus crop, right?” And you start to end up in these consultative dialogs with these potential customers. And cold calling was something that I would say is sort of a critical, something you shouldn’t be afraid to do if you’re dealing with customers because you’re going to have to do it to understand what your customers want.
(2)We’ve had to change what we are doing.
ビジネスを組み立てていく過程では、真の問題を見極めながら、変化を恐れず、進化を続けることが大切です。David Friedbergの会社は、起業5年目で、実際の事業内容と会社の名前が一致しなくなり、会社の名前を変更しなければいけなくなったそうです!
(以下、セミナーより抜粋)
Five years later, we’re renaming the company, it’s crazy. So, I was perfectly happy doing this. This is one point because I think it speaks to how nimble one needs to be and how sort of brutally self-honest and self-aware you need to be as you go through this process. We’ve had to change what we are doing and how we are doing it many times over in the course of this – the development of this business.
(3)Being an entrepreneur does not make one a rock star.
シリコンバレー発の有名企業(企業価値$1<)を生み出す起業成功ロックスターに実際なれる確率はたったの0.0006%. 多くのお金と時間を投じても、99%以上の人は、右の写真の人のように現状維持が精一杯。起業に向け就職をしない選択をすることで、機会費用も莫大となるばかりか、結果、新規事業がまったくお金が生みださない可能性は67%とのこと。つまり、「統計的に考えれば、もし起業のモチベーションが金銭的報酬であれば、おそらく、企業に就職する努力をしたほうが良いであろう。」と、現実を理解した上での冷静な判断をDavid Friedbergはアドバイスしています。確かに、新しいサービス・商品を生み出し、強いチームを編成し、顧客に価値を提供し、そして、常に新しい競争にさらされながら、変化し成長し続ける組織を統率するという、その全てを実現していくことは、勢いでできることではなさそうです。では、成功への鍵とは何でしょうか?
(セミナーからの抜粋)
The odds of the guy – or being the guy on the left are according to a study 0.0006%, that’s the odds of – I’m starting up a company and having the company be worth more than a billion dollars. The probability of being the person on the right is greater than 99%. And so, I would say, don’t do a startup and don’t try and solve a problem via a startup, if your goal is to have the status of the rock star entrepreneur because it is a false premise.
(4)Figure out what you don’t know and then know it.
彼は、”運””リスク””不明なこと” の3つを同等の意で捉えています。もし、ラッキーなことがあったならば、それは、あなたが、次に何が起こるか把握していなかったということ。ビジネス分析調査の目的は、何が起きるかを正しく理解することであり、ビジネス構築とは、方程式から、分からないことを一つ一つなくしていくこと。その地道な根気のいる作業が、目指す目標に近づく方法です。そのために、必要なことは、「自分が何を分かっていないか。」を先ず素直に受け止め、知ることです。しかし、その重要性は、実際に行動の中で、追い込まれてこそ、やっと気づかされることかもしれません。そして、その「知らないこと」を調べ、学習し、「知っていること」に一つ一つ変換していくことの重要性を David Friedbergは自らの経験から話します。
(セミナーからの抜粋)
Figure out what you don’t know and then know it. And at the end of the day, you’ll be left with truth or facts and you know exactly what’s going to happen and your business will achieve what it is you are setting out to achieve.
(5)It wasn’t a breakthrough.
つまり、成功や発見は、突然生まれるものではなく、分からないことを、分かるようにしていく、地道なプロセスから導かれるものだということです。そのためには、途中の失敗も新しいことを知るためのプロセスと捉える心持ちが必要です。彼は、例としてライト兄弟に触れます。彼らは、飛行機を飛ばすという目標をもとに、お金と時間をかけて飛行機をデザインし、試験飛行し、それがまた落ちて壊れる度に、何が分かっていないかを発見し、次はどうすればいいのかを、新しいデータをもとに考えました。新しいものを生み出すには、失敗は前に進むステップになります。
(セミナーからの抜粋)
And it was that grinding process, it wasn’t a breakthrough. There wasn’t some sort of moment of genius with the Wright brothers. These guys literally just took the principle of we need to get into the sky, that’s a problem, we need to solve it. They found the thing they didn’t know. We don’t know the drag coefficient, we don’t know the optimum wing design and they solved it.
(6) The implication of a society that no longer thinks big are enormous.
David Friedbergは、現代社会には、見渡せば多くの起業のチャンスが溢れていて、経済が滞る中、そうした新しいノベーションがグローバル社会の発展に不可欠であると考えています。起業を通して、自分で社会に大きな流れを生み出すことができる、チャンスの時代でもあります。しかし、世の中に、壮大なことを“考える”人自体が少なくなってきたと彼は言います。何故ならば、情報社会の中で、ただ新しい情報を多く持ち、「知っている」ことが、人と繋がり、コミュニティの中で生きる手段となり、より直接的なメリットがあるからです。すぐにメリットを生まない「考える」ことの相対的価値が下がってしまいました。そんな時代だからこそ、起業を考える人は think bigで、大きな目標を持って挑戦をしてほしい、と起業家へのエールを最後に送ってくれています。
新しい価値観で変化が求められる時代に、現在の問題を見極め、考え、新しい解決策を生み出す起業家の役割は、日本でもますます重要になっていくのではないでしょうか。
(セミナーからの抜粋)
And I would encourage everyone here that is considering entrepreneurism as an activity to think big because now is the time to do it and there’s never been a better time in the history of humanity.